スマートフォンのスペックを知る上で欠かせない、「SoC」。
「SoC」とは何ぞや、ということから、モバイル向け「SoC」の主要なメーカーの
主製品を今回は紹介します。
SoC (CPU) とは?
SoCとは、ある装置やシステムの動作に必要な機能のすべてを、一つの半導体チップに実装する方式。ターゲットとなる装置により構成は異なるが、マイクロプロセッサを核に各種のコントローラ回路やメモリなどを統合したチップが多い。
一般的には半導体チップは機能ごとに提供されるため、プラスチック基板上に複数のチップを実装して相互に接続する必要があるが、SoCでは複数のチップに分かれていた機能を統合し、一つのチップとして提供する。
これにより、装置の小型化や製造コスト低減、配線の省略による高速化、部品点数の削減による消費電力節減などのメリットが期待できる。ただし、回路規模の大型化に伴う開発期間・コストの増大や、部分的な変更やバリエーション展開が難しい、などのデメリットもある。
出展: e-Words
スマホでSoCが採用されている主な理由は、消費電力と大きさです。
SoCは、1つのチップの中に多くの機能を詰め込むことで、単体チップで構成する場合と比べてコンパクトにすることができ、サイズを小さくすることができます。
また、システム全体で消費電力を考えることができる為、電力を効率よく使い、より低消費電力にすることができます。
スマホ発売当時より、テクノロジーが進化し、プロセスの細分化が進んで、バッテリー容量も増大しましたが、ハイスペック化が進むにつれて高負荷かつ高消費電力のアプリが登場してるため、スマホにとってSoCは必須なのです。
AppleのiPhoneにもAndroid端末にもこのSoCは、欠かせません。
モバイル向け主要SoCメーカーと主製品
Qualcomm(クアルコム) – Snapdragon (スナップドラゴン)
Qualcomm(クアルコム)はアメリカの古くからある半導体メーカーであり、2016年時点で、Qualcomm(クアルコム)のSoCである「Snapdragon (スナップドラゴン)」は、ローエンドからハイエンドのAndroid系スマートフォンで最大のシェアを誇っています。
Android機種は出始めの頃から今に至るまでSnapdragonを採用している端末が非常に多いです。
また、最近では「Snapdragon (スナップドラゴン)オートモーティブ・ソリューション」としてテスラモーターズの車にも搭載されていたりします。
現在のフラッグシップSoCは、Snapdragon 821で、
CPUに、4 x Kryo CPU のクアッドコア
GUPに、Adreno 530 GPU
LTEに、Snapdragon X12 LTE modem
- LTE Category 13 (uplink) 150 Mbps
- LTE Category 12 (downlink) 600 Mbps
を搭載してます。
Samsung(サムスン電子) – Exynos(エクシノス)
Samsung(サムスン電子)は、大韓民国の企業であり、韓国国内最大の総合家電・電子部品・電子製品メーカーで、サムスングループの中核企業です。
日本ではGalaxyブランドとして展開しています。
Exynos(エクシノス)は、サンスンのGalaxyシリーズに搭載されているSoCで、Android初期の頃からGalaxyシリーズを支えてきました。
Galaxy S2に搭載された「Exynos 4210」は当時、日本のAndroid端末ではスバ抜けて性能が良く、爆発的なヒットとなりました。
現在のフラッグシップSoCは、Exynos 8890で、
CPUには、2.3GHz Quad (Custom Core) + 1.6GHz Quad (Cortex-A53)のオクタコア
GUPに、Mali-T880 MP12
LTEに、LTE Category 12(600Mbps DL), Category 13(150Mbps UL)
を搭載してます。
MediaTek(メディアテック) – Helio(ヘリオ)
MediaTek(メディアテック)は、台湾の半導体メーカーです。
SoCはコストパフォーマンスの高さから、2012年~2013年頃から主に新興国向けのミッドレンジスマートフォン向けモバイルSoCにおいて急速にシェアを広げています。
そして最近ではモバイル向けで世界初となる、デカコア(10コア)内蔵のSoCを発表し、次第にハイスペック指向を強めています。
現在のフラッグシップSoCは、Helio X25で、
CPUには、2x Cortex-A72 @ 2.5GHz+4x Cortex-A53 @ 2.0GHz+4x Cortex-A53 @ 1.55GHzのデカコア
GUPに、Mali-T880MP4
LTEに、LTE Category 6 (300/50Mbps)
を搭載してます。
HiSilicon(ハイシリコン) – Kirin(キリン)
HiSilicon(ハイシリコン)は、中国の半導体メーカーです。
元々は、HuaweiのASCIデザインセンターで、基本的にHiSiliconのSoCはHuaweiのスマートフォンに採用されています。
早くからオクタコア化を進めており、Qualcommが発熱に苦しむのに比べ、高スペックの割に発熱が低いのが特徴です。
Kirin 95xシリーズまでは全体的にやや3D性能が劣っていたが、Kirin 960でその性能を大きく向上させました。
現在のフラッグシップSoCは、Kirin 960で、
CPUには、4x Cortex A73 (2.4 GHz)+4x Cortex A53 (1.8 GHz)のオクタコア
GUPに、ARM Mali-G71MP8
LTEに、LTE Category 12(600Mbps DL), Category 13(150Mbps UL)
を搭載してます。
Apple(アップル) – Apple A10
Apple(アップル)は、言わずもがなですが、スティーブ・ジョブズ氏によって設立された、アメリカのインターネット関連製品・デジタル家庭電化製品および同製品に関連するソフトウェア製品を開発・販売する多国籍企業です。
2007年にiPhoneを発表し、スマートフォン市場へ進出しました。先進的でユニークなデザインが話題を呼び、世界的な話題となりました。
現在のフラッグシップSoCは、Apple A10で、
CPUには、4x Apple Twister cores(2.34GHz)のクアッドコア
GUPに、Apple A10 Fusion GPU(PowerVR Rogue)
を搭載してます。
スマートフォン向けSoCから撤退した企業
NVIDIA(エヌビディア) – Tegra(テグラ)
2015年の6月に開催された「COMPUTEX」にてスマートフォン向けSoCから撤退すると発表。
しかし、他の分野では開発が続いており、自動車ソリューションでの搭載や最近では「Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)」に採用されることで話題になりました。
Intel(インテル) – Atom(アトム)
2016年4月にスマートフォンやタブレット向けSoCから撤退すると発表。
Atom(アトム)は、Qualcommなどのチップセットを提供するライバルに対抗する製品と位置付けられていた。
主なターゲットとしては、成長中の新興国市場を狙ってローエンドからミドルレンジの層に向けた製品ラインアップでした。
しかし、激化するミドルレンジ以下の価格競争に負け、最終的にIntelはスマートフォンやタブレット向けSoCから撤退することとなりました。
コメント